ジュースやお酒、料理に使った缶など、空き缶は暮らしの中で自然とたまっていきますよね。
なんとなく資源ごみに出している方も多いと思いますが、実は処分方法はひとつではありません。自治体の回収に出すのはもちろん、スーパーや地域の回収ボックスに持ち込んだり、場合によっては売却してちょっとしたお小遣いにできることもあります。
この記事では、空き缶の処分方法7つと、捨てる際に守るべき注意点を解説します。また、アルミ缶とスチール缶の見分け方やよくある質問も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
空き缶の処分方法7選
空き缶の処分方法には、実は様々な選択肢があります。ここでは代表的な7つの処分方法をご紹介します。それぞれのメリット・デメリットを比較して、ご自身に合った方法を見つけてみてください。
処分方法 | 費用 | 手間 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
自治体の「資源ごみ」として出す | 0円 | △ | 最も基本的・安く処分したい人 |
自治体の処理施設へ直接持ち込む | 数十円〜100円/10kg | △ | 大量に一度で処分したい人 |
スーパーなどの「拠点回収ボックス」 | 0円 | △ | 好きなタイミングで捨てたい人、買い物ついでに処分したい人 |
地域の「資源集団回収」 | 0円 | △ | 地域貢献しながら処分したい人 |
不用品回収業者に依頼 | 数千円〜 | ○ | 手間なくまとめて処分したい人、高齢者や車がない人 |
金属買取業者に売却 | 無料(量によっては収入) | △ | アルミ缶が大量にある人、現金化したい人 |
引越し業者に引き取ってもらう | 有料(オプション) | ○ | 引越しと同時に効率的に処分したい人 |
※手間:○=手間ゼロ・△=やや手間がかかる・×=手間がかかる
捨て方1:自治体の「資源ごみ」として出す
最も身近で基本的な処分方法が、自治体の「資源ごみ」として出す方法です。費用がかからず、決められた収集日に地域の集積所へ出すだけなので、簡単にできるのが魅力です。
ただし、分別方法は自治体によって細かく定められています。例えば「アルミ缶とスチール缶を別の袋に分ける」「集積所の専用コンテナやネットに直接入れる」など様々です。
分別方法は自治体によって異なります。お住まいの地域のルールを、市のウェブサイトや配布されるごみカレンダー、ごみ分別アプリなどで必ず確認しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
費用がかからない(無料) | 自治体ごとに分別ルールが細かく異なる |
収集日に集積所へ出すだけで手軽 | 収集日が週1回など限られており、すぐに処分できない場合がある |
環境に優しく、資源リサイクルに直結する | アルミ缶・スチール缶を分ける必要がある場合がある |
家計に優しい、最も推奨される方法 | 透明・半透明袋や専用ネットなど、指定された出し方に従う必要がある |
捨て方2:自治体の処理施設へ直接持ち込む
引越しや大掃除、地域のお祭りやイベントの後などで、一度に大量の空き缶を処分したい場合には、自治体が運営するごみ処理施設へ直接持ち込む方法が有効です。
料金は10kgあたり数十円から百円程度と非常に安価なため、費用を抑えて処分することが可能です。ただし、搬入できる曜日や時間が厳密に決まっていたり、事前の電話予約が必要だったりする場合がほとんどです。
カタニャン
メリット | デメリット |
---|---|
大量の缶を一度に処分できる | 搬入できる日時が限られている |
処理費用が非常に安い(10kg数十円〜) | 車が必要になる場合が多い |
不用品回収業者に比べ大幅に安価 | 事前予約が必要なことがある |
捨て方3:スーパーなどの「拠点回収ボックス」を利用する
多くの大手スーパーマーケットや一部のコンビニ、ショッピングモールの入口付近には、資源を回収するための「拠点回収ボックス」が設置されています。ここに持ち込む方法も非常に便利です。
最大のメリットは、自治体の週に一度の収集日を待つ必要がなく、買い物のついでなど自分の好きなタイミングで処分できる点です。家に空き缶を溜めておくスペースがない方や、すぐに片付けたい方にとっては最適な方法です。
ただし、店舗によっては回収品目が「アルミ缶のみ」に限定されていたり、スチール缶は受け付けていなかったりする場合もあります。回収ボックスの表示をよく確認してから利用しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
好きなタイミングで処分できる | アルミ缶のみなど、回収品目が限定される場合がある |
買い物ついでに利用でき便利 | 店舗によって設置されていない場合がある |
収集日を待つ必要がない | 回収量に制限がある場合もある |
捨て方4:地域の「資源集団回収」に出す
町内会や自治会、子ども会などが主体となって行っている地域の「資源集団回収」に出す方法もあります。これは、地域住民が協力して家庭から出る資源物を集め、リサイクル業者に引き渡す地域活動の一環です。
この活動の特徴は、回収した量に応じて自治体から団体へ報奨金が支払われる点です。そのお金は、地域のお祭りの運営費や子ども会の活動費、共有スペースの維持管理費などに充てられます。つまり、私たちが資源ごみを出すことが、間接的に地域コミュニティへの貢献に繋がるという仕組みです。
カタニャン
メリット | デメリット |
---|---|
地域貢献につながる(報奨金が地域活動に還元される) | 回収日時や場所が限定される |
無料で出せる | 回覧板や掲示板などの情報を確認する手間がある |
住民同士の協力で資源が有効活用される | 少量だと出しづらい場合もある |
捨て方5:不用品回収業者に依頼する
時間や手間をかけずに空き缶を処分したいなら、専門の不用品回収業者に依頼するのも一つの選択肢です。電話やウェブサイトから申し込むだけで、希望の日時に自宅まで回収に来てくれるため非常に便利です。特に、車を持っていない方や、高齢で重いものを運ぶのが困難な方にとっては心強いサービスです。
空き缶だけでなく、使わなくなった家具や家電など、他の様々な不用品もまとめて引き取ってもらえるのが大きなメリットです。ただし、他の方法に比べて費用は高くなる傾向があります。
悪質な業者に依頼してしまうと、不法投棄や高額請求などのトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。トラブルを避けるためにも、信頼できる業者を慎重に選びましょう。
【信頼できる不用品回収業者の選び方】
- 「一般廃棄物収集運搬業許可」を確認する
家庭ごみを回収するには、市区町村の許可が必須です。「産業廃棄物」の許可だけでは違法になるため注意しましょう。 - 作業前に見積もりを取る
必ず作業前に書面で見積もりをもらい、料金体系や追加料金の有無を確認します。 - 会社の連絡先が明確か
ホームページなどに会社の住所や固定電話番号がきちんと記載されているかを確認しましょう。 - 「無料回収」の謳い文句に注意する
街を巡回するトラックやチラシの「無料」という言葉を鵜呑みにせず、必ず許可の有無を確認してください。
カタニャン
メリット | デメリット |
---|---|
自宅まで回収に来てくれるため手間いらず | 他の方法に比べ費用が高い |
他の不用品もまとめて処分できる | 悪質な業者に注意が必要 |
車がなくても利用可能 | 「無料回収」のトラブルに巻き込まれる恐れあり |
捨て方6:金属買取業者に売却する
もしアルミ缶が45Lのゴミ袋に数袋分など、かなりの量で溜まっている場合は、金属買取業者に売却してお金に換えられる可能性があります。
特にアルミ缶はスチール缶に比べてリサイクル価値が高く、買取の対象となりやすいです。なぜなら、アルミは原料から新しく製造するよりも、リサイクルする方がはるかに少ないエネルギーで済むため、資源としての需要が高いからです。
金属の買取価格は市場価格によって変動するため、高額になることは稀ですが、大量にあれば臨時収入になるかもしれません。近隣の業者に電話などで問い合わせてみるとよいでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
アルミ缶が大量にあれば現金化できる | 少量では対象外になることが多い |
環境負荷を抑えつつ資源を有効活用できる | 買取価格は市場変動で安定しない |
大量処分に向いている | 業者まで持ち込む手間がかかる |
捨て方7:引越し業者に引き取ってもらう
引越しを機に溜まった空き缶を処分する場合は、引越し業者に引き取りを依頼できることがあります。これは通常、有料のオプションサービスとして提供されており、全ての業者が対応しているわけではありません。
しかし、引越しの準備で忙しい中、別途ごみ出しの手配をする必要がなく、他の不用品とまとめて新居へ運ぶ荷物から仕分けしてもらえるため、非常に効率的です。手間を少しでも減らしたい方にとっては価値のあるサービスと言えるでしょう。
引越しの見積もりを取る際に、オプションとして空き缶などの不用品引き取りが可能かどうかを事前に相談してみると良いでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
引越し作業と同時に処分でき効率的 | 有料オプションのため追加費用がかかる |
他の不用品とまとめて引き取ってもらえる | 全ての業者が対応しているわけではない |
手間が省ける | 事前にオプション対応を確認する必要がある |
空き缶を捨てる際に守るべき2つの注意点
空き缶は貴重なリサイクル資源です。その価値を損なわず、安全に処分するために、どの方法を選ぶ場合でも共通して守るべき2つの注意点があります。
注意点1:中身を空にして軽くすすぐ
処分する前には、必ず中身を空にしてから、水で軽くすすぐ習慣をつけましょう。
飲み残しや食品のタレなどが缶の中に残っていると、収集を待つ間に腐敗して悪臭を放ち、ゴキブリやハエなどの害虫を呼び寄せる原因になります。また、汚れたままではリサイクル工場の機械を傷めたり、再生品の品質を著しく低下させたりする要因にもなります。
カタニャン
注意点2:タバコの吸い殻などの異物は絶対に入れない
空き缶の中にタバコの吸い殻やティッシュ、食品の残りかすなどの異物を捨てるのは絶対にやめましょう。リサイクルの工程では、缶を高温で溶かして再生しますが、不純物が混ざると、再生された金属の品質が著しく低下してしまいます。
特に危険なのが、火の消えていないタバコの吸い殻です。他のごみと一緒になった際に発火し、集積所やごみ収集車での火災を引き起こす重大な事故に繋がる恐れがあります。空き缶を灰皿代わりに使うことは絶対に避け、中身は空の状態で処分してください。
アルミ缶とスチール缶の見分け方
空き缶には大きく分けて「アルミ缶」と「スチール缶」の2種類があります。見た目はよく似ていますが、実は製造方法や再生の工程が違うため、リサイクルの現場では正しく分別されていることがとても大切です。もし間違って混ざってしまうと、リサイクル効率が落ちたり、再生された金属の品質が下がってしまう恐れがあります。
ここでは、家庭でできる簡単な見分け方を2つご紹介します。
リサイクルマークを確認する
缶の側面や底には、リサイクルの種類を示すマークが印刷されています。三角形のマークの中に「アルミ」と書かれていればアルミ缶、丸いマークの中に「スチール」と書かれていればスチール缶です。見慣れてくると、ラベルをサッと見るだけで判別できるようになります。
磁石を使って見分ける
家にある磁石を使ってみる方法もあります。缶に磁石を近づけて、ピタッとくっつけばスチール缶、反応がなければアルミ缶です。無地やラベルがはがれてしまった缶でも、これならすぐに判別できます。
ちなみに、アルミ缶は軽くてつぶしやすく、主に飲料用として使われることが多いのに対し、スチール缶は強度があるため、コーヒーや食品缶詰などに多く使われています。ちょっとした特徴を覚えておくと、仕分けがぐっとスムーズになります。
空き缶の処分方法でよくある質問
ここでは、空き缶を捨てる際によく寄せられる質問にお答えします。
缶は潰すべき?潰さないべき?
多くの自治体では「潰さないで出す」よう推奨されています。かつては運搬効率を上げるために「潰してください」と指導する自治体もありましたが、近年はリサイクル技術が進歩し、選別精度を優先するルールが主流になっています。
リサイクル工場では、巨大な機械が缶の形状を認識して自動でアルミとスチールを分別しているため、潰れていると正確に選別できないことがあるのです。
ただし、収集スペースが限られているなどの理由から、現在でも「潰して出す」よう指示している自治体も一部存在します。最終的には、お住まいの自治体のルールを確認することが最も確実です。
塗料や食品など中身が残った缶はどうする?
中身が残ったままでは、基本的にごみとして収集してもらえません。中身は適切に処理する必要があります。例えば、油性塗料の場合は、専門の凝固剤で固めるか、不要な布や新聞紙に塗り広げて完全に乾かしてから可燃ごみとして捨てます。ラッカーシンナーなどは揮発性が高く危険なため、絶対にご自身で処理せず、販売店や専門業者に相談してください。
缶自体は、中身をきれいにした後に自治体の指示(「不燃ごみ」「危険ごみ」など)に従って処分します。ご自身での処理が難しい場合は、無理せず専門の不用品回収業者に相談しましょう。
空き缶はルールを守って正しく処分しよう
この記事では、空き缶の7つの処分方法と、捨てる際の注意点について解説しました。
最も大切なのは、お住まいの自治体のルールを確認し、正しく分別することです。少量であれば「資源ごみ」や「拠点回収」、大量にあれば「処理施設への持ち込み」や「不用品回収業者への依頼」など、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
どの方法を選んでも共通して大切なのは、中身を空にして軽くすすぐこと、そして異物を絶対に入れないことです。このちょっとしたひと手間で、衛生的に処分できるだけでなく、リサイクルの質をぐんと高めることができます。
ぜひこの記事を参考に、自分にぴったりの方法で空き缶をすっきり片付けてくださいね。