再生可能エネルギーの主役として、多くの家庭や事業所に導入されているソーラーパネル。しかし、その寿命や性能の進化に伴い、「古くなったパネルをどう処分すればいいのか?」「撤去費用はどれくらいかかる?」といった新たな課題に直面する方が増えています。
ソーラーパネルは、家電や家具のように粗大ゴミとして捨てることはできません。法律上「産業廃棄物」として扱われるため、専門的な知識と許可を持った業者による適正な処理が義務つけられています。
この記事では、ソーラーパネルの処分方法5選と、処分する際の注意点を解説します。また、優良な撤去・処分業者の選び方やよくある質問も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ソーラーパネルの処分方法5選
ソーラーパネルの主な5つの処分方法を紹介します。どの方法を選ぶにしても、「安全な撤去」と「適法な処理」が絶対条件となります。
| 処分方法 | 費用の目安(撤去・処分込) | 手間 | おすすめな人 |
| 設置した販売店・施工業者 | 10万円~20万円 | ○ | 最も確実な方法を求める人 |
| 太陽光パネル専門の撤去・処分業者 | 10万円~25万円 | ○ | 設置業者が不明な人 |
| リサイクル専門業者 | 要見積もり | △ | 環境に配慮したい人 |
| 解体業者 | 要見積もり | ○ | 家屋の解体と同時に処分したい人 |
| 中古品として売却 | 0円(収益あり) | × | リユースしてほしい人 |
※手間:○=手間ゼロ・△=やや手間がかかる・×=手間がかかる
方法1:設置した販売店・施工業者に依頼する
ソーラーパネルを処分するうえで、最も安全かつ確実なのが、パネルを設置した際の販売店や施工業者に相談する方法です。設置業者は製品の構造や配線を熟知しているため、感電や屋根の破損といったリスクを最小限に抑えながら、安全に撤去作業を行ってくれます。
施工業者は産業廃棄物処理業者と提携している場合が多く、撤去から運搬、最終処分までをワンストップで依頼できるため、手間が最も少ない方法といえます。
費用は、足場の設置が必要かどうか、パネルの枚数、屋根の形状などによって変動しますが、一般的な住宅であれば撤去・運搬・処分費用を合わせて10万円~20万円程度が相場です。
依頼する手順
- 販売店・施工業者に連絡
設置時の契約書などを元に、業者に連絡を取ります。 - 現地調査と見積もり
業者が現地を訪問し、パネルの設置状況や屋根の状態を確認したうえで、詳細な見積書を作成します。 - 契約・作業日の調整
見積もり内容に納得したら契約し、足場の設置や撤去作業の日程を調整します。 - 撤去
当日、専門の作業員がパネルの撤去と搬出を行います。業者が責任を持って最終処分までを管理します。
| メリット | デメリット |
| 製品知識が豊富で、最も安全・確実 | 業者が倒産・廃業している場合は依頼できない |
| 撤去から処分まで一括で依頼できる | 業者によっては費用が割高になる可能性も |
| 屋根へのダメージを最小限に抑えられる | 相見積もりが取りにくく比較が難しい |
方法2:太陽光パネル専門の撤去・処分業者に依頼する
「どこに頼んだか忘れてしまった」「設置した業者が倒産してしまった」という場合には、ソーラーパネルの撤去と処分を専門に行う業者に依頼するのが次善の策です。
これらの専門業者は、さまざまなメーカーのパネル撤去に対応できるノウハウと、産業廃棄物処理の正規ルートを持っています。
カタニャン
業者を選ぶ際は、必ず「産業廃棄物収集運搬業許可」の有無や、過去の施工実績をウェブサイトなどで確認することが重要です。
費用は業者によって差がありますが、設置業者に依頼するのと同程度か、少し高くなる傾向があります。
| メリット | デメリット |
| さまざまなメーカーのパネルに対応可能 | 業者選びを慎重に行う必要がある |
| 設置業者が不明でも依頼できる | 悪質な業者に依頼してしまうリスクがある |
| 複数の業者から相見積もりを取れる | 業者によって技術力や知識に差がある |
方法3:リサイクル専門業者に依頼する
環境への配慮を最優先に考えるなら、ソーラーパネルの高度なリサイクル技術を持つ専門業者に依頼する選択肢もあります。
ソーラーパネルは、ガラス、アルミニウム、シリコン、銅、銀など、多くの有価物から構成されています。リサイクル業者は、これらを適切に分離・抽出し、新たな製品の原料として再資源化します。
依頼する際は、設置業者や撤去専門業者を通じて、リサイクル処理を希望する旨を伝えるとスムーズです。
まだ数は少ないですが、全国に専門のリサイクル業者が存在し、施工業者と提携してリサイクル処理を請け負っています。
| メリット | デメリット |
| 環境負荷を最小限に抑えられる | 専門業者が限られており、探すのが難しい |
| 資源の有効活用に貢献できる | 通常の処分より費用が高くなる場合がある |
方法4:解体業者に依頼する
家屋の建て替えやリフォームに伴ってソーラーパネルを処分する場合は、その工事を請け負う解体業者にまとめて依頼するのが最も効率的です。
解体業者は、家屋の解体で発生するさまざまな産業廃棄物の処理ルートを確保しており、ソーラーパネルもその一環として適切に処分してくれます。工事の見積もりに「太陽光パネル撤去処分費」といった項目で費用が記載されます。
| メリット | デメリット |
| 家の解体と同時にワンストップで処分できる | 処分だけを単独で依頼することはできない |
| 自分で別途業者を探す手間が省ける | 業者によってはパネル処分の知識が乏しい場合も |
方法5:中古品として売却する
設置から年数が浅く(5年以内など)、まだ十分に発電性能が残っているパネルを、より高性能なモデルへ交換するようなケースでは、中古品として売却できる可能性があります。
太陽光関連の中古品を専門に扱う買取業者や、フリマアプリ、ネットオークションなどで売却ルートを探します。
ただし、個人が売却するには「安全な撤去」「保証の問題」「高額な送料」など、非常に多くのハードルがあります。
撤去は専門業者に依頼する必要があり、撤去費用を売却益が上回るケースは稀です。また、個人間取引では製品保証がなく、トラブルに発展しやすいため、基本的には現実的な選択肢とはいえません。
| メリット | デメリット |
| 処分費用がかからず、収入になる可能性がある | 撤去費用が売却益を上回ることがほとんど |
| まだ使えるパネルを有効活用できる | 個人が安全に取り扱うのは極めて困難 |
| 高性能モデルへの交換費用を補填できる | 保証がなく、買い手とのトラブルリスクが高い |
ソーラーパネルを処分する際の注意点
ソーラーパネルの処分は、他の不用品とは違って法的義務が伴います。手放す前に、以下の点を必ず押さえておきましょう。
ソーラーパネルは「産業廃棄物」
最も重要な点は、ソーラーパネルが「廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づき、原則として「産業廃棄物」に分類されることです。これは、事業活動から出るゴミだけでなく、一般家庭の屋根に設置されたものであっても同様です。
産業廃棄物は、排出した事業者(この場合はソーラーパネルの所有者)が自らの責任で適正に処理することが義務つけられています。
無許可の業者に処分を依頼したり、山林などに投棄したりする「不法投棄」は極めて重い罰則(5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金など)の対象となります。
カタニャン
絶対にNG!個人での撤去作業は危険
「撤去費用を節約したい」という理由で、自分で撤去を考える方がいるかもしれませんが、絶対にやめてください。ソーラーパネルの撤去には、素人では対応できない危険が伴います。
- 感電のリスク
ソーラーパネルは、送電を停止しても、太陽光が当たっている限り発電を続けます。配線を不用意に切断したり傷つけたりすると、高電圧で感電するなど命に関わる危険があります。 - 転落のリスク
屋根のうえという高所での作業は、常に転落の危険と隣り合わせです。専門業者は、命綱などの安全装備を万全にして作業にあたります。 - 重量物の落下リスク
ソーラーパネルは1枚あたり15kg以上あり、非常に重く、滑りやすいです。万が一地上に落下すると、人やものに甚大な被害を及ぼす可能性があります。
優良な撤去・処分業者の選び方5つ
ソーラーパネルの処分は専門業者への依頼が必須ですが、どの業者も同じではありません。高額な追加請求や不法投棄といったトラブルを避け、安心して任せられる優良業者を見つけるためのチェックポイントを5つ紹介します。
必要な「許可」を持っているか
まず最も重要なのが、法律に基づいた許可の有無です。ウェブサイトの会社概要や、見積もりの際に必ず確認しましょう。
- 産業廃棄物収集運搬業許可
撤去したパネルを処分場まで運搬するために必須の許可です。 - 電気工事業者の登録
安全に電気配線を切り離し、撤去作業を行うために必要な登録です。
ソーラーパネルの「撤去実績」は豊富か
業者のウェブサイトで、過去の施工事例や実績を確認しましょう。
さまざまな屋根の形状やメーカーのパネルに対応してきた実績が豊富な業者は、予期せぬトラブルにも対応できる技術力とノウハウを持っています。
「見積書の内訳」が明確に記載されているか
「工事一式」といった大雑把な見積書を出す業者は要注意です。優良な業者は、「撤去作業費」「足場設置費」「収集運搬費」「パネル処分費」など、項目ごとに詳細な内訳を記載してくれます。
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万が一の事故に備える「損害賠償保険」に加入しているか
屋根のうえでの作業には、屋根材の破損や部材の落下といったリスクが常に伴います。信頼できる業者は、作業中の万が一の事故に備えて、損害賠償責任保険に加入しています。
保険の加入状況を確認しておくことで、安心して工事を任せられます。
「マニフェスト」の発行に対応しているか
マニフェストとは、産業廃棄物が正しく処理されたことを証明する書類です。業者によっては個人宅の処分では省略することもありますが、依頼すれば写しを発行してくれます。
不法投棄されていないかを最終確認できるため、発行に対応しているか事前に確認しておくとよいでしょう。
ソーラーパネルの処分でよくある質問(FAQ)
ここでは、読者から特によく寄せられる質問をまとめて紹介します。 安全かつ適切に処分を進めるための参考にしてください。
ソーラーパネルの寿命はどのくらいですか?
一般的に、ソーラーパネルの寿命は20〜30年程度とされています。ただし、設置環境やメーカーによっては40年近く稼働するケースもあります。
目に見える劣化がなくても、発電効率は年々0.3〜0.5%ずつ低下していくため、15〜20年を過ぎたあたりでメンテナンスや交換を検討するのがおすすめです。
ソーラーパネルの撤去だけを依頼することはできますか?
はい、撤去のみの依頼も可能です。ただし、撤去後のパネルは「産業廃棄物」として扱われるため、処分を別の許可業者に委託する必要があります。
撤去と処分をそれぞれ別に依頼すると手続きや費用が煩雑になりやすいため、撤去から最終処分まで一括で対応できる業者を選ぶのが最もスムーズです。
ソーラーパネルの処分費用を安くする方法はありますか?
処分費用を抑えるには、複数の業者から相見積もりを取るのが基本です。また、屋根リフォームや解体工事と同時に撤去を依頼すれば、足場設置費や人件費を共有できるため、コストを大幅に削減できるケースもあります。
ただし、極端に安い見積もりを出す業者には注意が必要です。中には、不法投棄や無許可回収などのトラブルにつながるケースもあるため、必ず「産業廃棄物収集運搬業許可」の有無を確認しましょう。
家庭用のソーラーパネルでも産業廃棄物になりますか?
はい、なります。家庭に設置されたソーラーパネルであっても、法律上は「産業廃棄物」に分類されます。これは、廃棄物処理法で「家庭から出たものであっても事業活動に準ずるもの」とされているためです。
処分時にリサイクルできる部品はありますか?
はい、あります。ソーラーパネルはガラス、アルミ、シリコン、銅、銀などの有価金属で構成されており、リサイクル専門業者がこれらを分離・再資源化しています。
再利用された素材は、新しいパネルや電子部品、建築資材などに生まれ変わります。環境への配慮を重視する方は、リサイクル対応を明記している業者を選ぶとよいでしょう。
ソーラーパネルの処分に補助金はありますか?
自治体によっては、撤去・処分・リサイクルに対する補助金制度を実施しています。対象となるのは主に、老朽化した住宅用太陽光パネルの撤去やリサイクル費用の一部で、補助率は費用の1/3〜1/2程度が一般的です。
ただし、申請期限や予算枠があるため、お住まいの自治体の環境課や公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
壊れたパネルをそのまま放置しておくと危険ですか?
はい、非常に危険です。ひび割れたパネルや劣化した配線部分には感電・漏電・発火のリスクがあります。また、風雨の影響でガラスが剥離したり、屋根から落下する可能性もあります。
見た目に問題がなくても、発電量が急激に低下している場合は、早めに点検・撤去の相談を行いましょう。
ソーラーパネルの処分は、安全と法律遵守を最優先に
ここまで、ソーラーパネルの処分方法について詳しく解説してきました。さまざまな選択肢があるように見えますが、安全と法律という観点から、取るべき行動は非常にシンプルです。
まず、ソーラーパネルの処分は、必ず専門のプロに依頼するということを念頭に置いてください。そのうえで、最も推奨される方法は、製品を熟知している設置時の販売店・施工業者に相談することです。
もし設置業者が不明な場合は、複数の太陽光パネル専門の撤去・処分業者から相見積もりを取り、許可の有無や実績を比較して、信頼できる業者を選びましょう。
家の解体など、他の工事と同時に行う場合は、その専門業者に一括で任せるのが効率的です。中古品としての売却は、多くのリスクを伴うため、基本的には避けるのが賢明です。
ソーラーパネルの処分は、決して安価ではありません。しかし、その費用は、安全な作業と、法律に基づいた適正な処理、そして未来の環境を守るための必要経費です。目先の安さにとらわれず、最も信頼できる方法で、責任を持って処分を進めましょう。

