スマートフォンの普及により、使う機会がなくなった「ガラケー(フィーチャーフォン)」。機種変更の記念や、思い出が詰まっているからと、引き出しの奥に眠らせていませんか?
「充電もできないし、どうやって捨てればいいの?」「写真やメール、電話帳のデータが残っているから、そのまま捨てるのは怖い…」と、処分に一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、データを完全に初期化する方法と、ガラケーの6つの処分方法を解説します。また、よくある質問も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
処分前に!ガラケーのデータを完全に初期化する方法
ガラケーを処分する上で、最も重要なのが内部データの完全な消去です。
友人や家族の電話帳、送受信したメール、撮影した写真など、ガラケーは個人情報とプライベートな思い出の宝庫です。万が一、データが第三者に渡れば、悪用されるリスクもゼロではありません。
「もう電源が入らないから大丈夫」と考えるのは危険です。専門的な技術を使えば、バッテリーが切れた本体からでもデータを抜き取れる可能性があります。
ここでは、ガラケーのデータを初期化する手順を詳しく解説します。
- 充電して電源を入れる
長年放置していたガラケーは、バッテリーが完全放電していることがほとんどです。まずは、 맞는充電器を探して充電し、電源が入る状態にしましょう。 - 必要なデータのバックアップを取る
写真など、残しておきたいデータがあれば、microSDカードなどに移動させてバックアップを取りましょう。 - 暗証番号(パスワード)を確認する
初期化の際には、契約時に設定した4桁の暗証番号が必要になります。忘れてしまった場合は、「0000」や「1234」、「9999」などで試してみてください。それでも解除できない場合は、契約していた携帯キャリアのショップに相談しましょう。 - 「オールリセット」「データ一括削除」を実行する
メニュー画面から「設定」→「リセット」→「オールリセット」といった項目を選び、データを初期化します。機種によってメニューの名称は異なりますが、「データ一括削除」「メモリリセット」「クリア」などの項目を探してください。 - ICカード(おサイフケータイ)のデータを消去する
おサイフケータイ機能を使っていた場合は、ICカード内のデータも忘れずに消去・移行する必要があります。これも各携帯キャリアのショップで手続きが可能です。 - SIMカードとmicroSDカードを必ず抜く
初期化が終わったら、本体からSIMカードとmicroSDカードを必ず抜き取ってください。SIMカードにも電話番号などの情報が記録されています。抜いたカードは、ハサミで切断すればより安全です。
カタニャン
ガラケーの処分方法6選
それでは、ガラケーを処分するための6つの方法について、それぞれの特徴を一覧表で確認してみましょう。ご自身の状況に合わせて最適な方法を見つける参考にしてください。
| 処分方法 | 費用の目安 | 手間 | おすすめな人 |
| 携帯キャリアショップに持ち込む | 0円 | ○ | ・最も安全・確実に処分したい人 ・データ消去に不安がある人 |
| 家電量販店の回収ボックスに入れる | 0円 | ◎ | ・買い物のついでに手軽に処分したい人 |
| 自治体の小型家電回収ボックスに入れる | 0円 | ◎ | ・近くにキャリアショップや家電量販店がない人 |
| 買取業者・リサイクルショップに売却する | 0円(収益あり) | △ | ・希少価値のあるレトロな機種を持っている人 |
| フリマアプリ・オークションに出品する | 0円(収益あり) | × | ・コレクター向け機種を持っていて、高値で売りたい人 |
| 不用品回収業者に依頼する | 数千円~ | ○ | ・他の不用品とまとめて処分したい人 |
※手間:○=手間ゼロ・△=やや手間がかかる・×=手間がかかる
方法1:携帯キャリアショップに持ち込む
最も安全で確実なのが、ドコモ、au、ソフトバンクといった携帯キャリアショップに持ち込む方法です。契約キャリアに関係なく、どのメーカーのガラケーでも無料で回収してくれます。
最大のメリットは、セキュリティ面の安心感です。多くのショップでは、顧客の目の前で、専用の工具(シュレッダーやパンチ)を使ってガラケー本体を物理的に破壊してくれます。これにより、データの復元は完全に不可能になります。
依頼の手順
- 近くのキャリアショップを探す。
- 処分したいガラケーを持って、ショップのカウンターで回収を依頼する。
- 希望すれば、目の前で物理破壊をしてもらう。
相談者
カタニャン
| メリット | デメリット |
| ・目の前で物理破壊してくれるため、セキュリティが最も高い ・メーカーやキャリアを問わず無料で回収してくれる |
・ショップの営業時間内に行く必要がある ・混雑していると待ち時間が発生することがある |
方法2:家電量販店の回収ボックスに入れる
手軽に、かつ法律に基づいた適切な方法で処分したいなら、家電量販店の「小型家電回収ボックス」を利用するのがおすすめです。この方法は、費用や手間をかけずにリサイクルを完了できるのが大きな魅力です。
ビックカメラ、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ヨドバシカメラといったほとんどの大手家電量販店は、小型家電を自主的に回収し、リサイクルする体制を整えています。
カタニャン
店舗やボックスの形状によっては、電池パックを外す必要がある、または著しく破損したものは回収できないなど、細かなルールがある場合があります。心配な場合は、店頭のスタッフに一度尋ねてみることをおすすめします。
| メリット | デメリット |
| ・買い物のついでに手軽に処分できる ・予約や手続きが一切不要 |
・目の前での物理破壊はないため、データ消去は自己責任となる |
方法3:自治体の小型家電回収ボックスに入れる
お住まいの市区町村でも、公共施設(市役所、公民館など)やスーパーマーケットなどに、自治体の小型家電の回収ボックスを設置しています。
こちらも家電量販店と同様、ボックスに投函するだけで処分が完了します。近くにキャリアショップや家電量販店がない場合に便利な方法です。自治体のホームページで設置場所を確認してみましょう。
| メリット | デメリット |
| ・公共施設など、身近な場所で処分できる ・自治体による回収なので安心感がある |
・目の前での物理破壊はないため、データ消去は自己責任となる ・回収ボックスの設置場所が限られる場合がある |
方法4:買取業者・リサイクルショップに売却する
買取業者やリサイクルショップに売却する方法もあります。基本的には、古いガラケーのほとんどは買取価格が付きません。しかし、一部の希少なモデルや、デザイン性の高い「デザインケータイ」と呼ばれる機種は、コレクターアイテムとして価値が付くことがあります。
価値が付く可能性のある機種例
au Design projectの「INFOBAR」、ドコモの「premini」など
もし、こうした機種を綺麗な状態で保管しているなら、一度ネットの買取専門店などで査定を依頼してみる価値はあります。ただし、売却前には確実なデータ初期化が必須です。
| メリット | デメリット |
| ・希少なモデルであれば、思わぬ収益になる可能性がある | ・ほとんどのガラケーは買取価格が付かない ・売却前の完全なデータ初期化が必須となる |
方法5:フリマアプリ・オークションに出品する
買取業者と同様、希少価値のあるレトロなガラケーは、フリマアプリ・オークションで売却できる可能性があります。業者を通さない分、より高値で売れることも。
ただし、個人間取引になるため、データ消去の責任はすべて出品者自身が負うことになります。商品の状態説明や梱包・発送の手間もかかるため、ある程度のリスクと手間を許容できる方向けの方法です。
| メリット | デメリット |
| ・業者よりも高値で売れる可能性がある ・コレクターが直接購入してくれる可能性がある |
・データ消去の責任を自分で負う必要がある ・出品や梱包、発送の手間がかかる |
方法6:不用品回収業者に依頼する
ガラケー単品での依頼は割高になるため推奨されませんが、「大掃除や引越しで、他にも処分したい家電や家具が大量にある」という場合には、不用品回収業者にまとめて依頼する選択肢もあります。
分別やデータ破壊の手間なく、全ての不用品を一度に運び出してくれるのは大きなメリットです。ただし、費用が高額になることと、悪質な業者を見極める必要がある点には注意が必要です。
「無料回収」を謳う業者は、ガラケーに含まれるレアメタルを目的としている場合がありますが、データの扱いが不透明で危険です。必ず自治体の許可を得た「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者に依頼しましょう。
| メリット | デメリット |
| ・他の不用品とまとめて一度に処分できる ・分別や搬出の手間が一切かからない | ・処分費用が他の方法に比べて高額になる ・業者選びを慎重に行う必要がある |
ガラケーの処分に関するよくある質問
ガラケーの処分に関して、多くの人が抱える疑問とその回答をまとめました。
壊れていて電源が入らないガラケーはどうすればいいですか?
その場合、携帯キャリアショップに持ち込むのが最も安全な方法です。 電源が入らないと、自分でデータを初期化することはできません。しかし、キャリアショップでは、専用の工具(ケータイパンチなど)を使って、データの記録されている基板そのものを物理的に破壊してくれます。
これにより、専門家でもデータの復元は不可能になるため、情報漏洩の心配は一切ありません。もちろん、このサービスも無料で提供されています。
自分で無理に分解しようとすると、バッテリーが発火する危険もあるため、そのままの状態でショップに持ち込みましょう。
充電器や卓上ホルダも一緒に処分できますか?
はい、本体だけでなく、充電器(ACアダプタ)、卓上ホルダ、電池パックといった付属品もすべて一緒に無料で処分できます。
これらは携帯キャリアショップの回収対象に含まれており、本体と同様にリサイクルされます。充電器などのケーブル類も、銅などの資源が含まれているため、貴重なリサイクル資源となります。
家電量販店や自治体の小型家電回収ボックスでも、多くの場合、付属品もまとめて投函することが可能です。
昔のガラケーのSIMカードはどうすればいいですか?
SIMカードは、本体から必ず抜き取ってから処分してください。 SIMカードには、電話番号や契約者情報といった非常に重要な個人情報が記録されています。たとえ解約済みであっても、情報を読み取られるリスクは残ります。
抜き取ったSIMカードは、金色または銅色のICチップ部分をめがけてハサミで数回切断することで、完全に破壊できます。その後は、お住まいの自治体の分別ルール(多くは不燃ごみ)に従って捨てましょう。
会社のガラケーを処分したいのですが…
会社から貸与された携帯電話(法人契約)は、絶対に個人の判断で処分してはいけません。 そのガラケーは会社の資産であり、中には同僚や取引先の連絡先、業務に関するメールなど、会社の機密情報が大量に含まれている可能性があります。
勝手に処分すると、情報漏洩事故につながり、会社の信用を失墜させるだけでなく、損害賠償問題に発展する可能性もあります。必ず会社の担当部署(総務部、情報システム部など)に返却し、定められた手順に従って処理を依頼してください。
ガラケーのバッテリーが膨張しているのですが、どうすればいいですか?
バッテリーが膨張している場合は、絶対に回収ボックスには投函せず、直接キャリアショップの店員さんに手渡してください。
長年放置されたリチウムイオン電池は、劣化して内部でガスが発生し、膨張することがあります。この状態は非常に不安定で、衝撃が加わると発火や破裂の危険性があります。
キャリアショップのスタッフは、こうした危険なバッテリーの安全な取り扱い方法について教育を受けています。安全のため、ビニール袋などには入れず、そのままの状態で「バッテリーが膨張している」旨を伝えて手渡しましょう。
データ消去を徹底して、ガラケーを安全に処分しよう
使わなくなったガラケーには様々な処分方法があります。もし希少なモデルをお持ちで、手間を惜しまないのであれば売却するのも一つの手ですが、ほとんどの方にとっては、収益は期待できません。
ガラケーを処分する上で最も重要なのは、「データを確実に消去すること」と「法律やルールに沿ってリサイクルすること」の2点です。この両方を最も高いレベルで満たしてくれるのが、「携帯キャリアショップへの持ち込み」です。
無料で、メーカーやブランドを問わず、目の前で物理破壊までしてくれるキャリアショップは、最も安心・確実な処分方法と言えるでしょう。
引き出しの奥で眠っているガラケーは、適切な処分ルートに乗せることで、貴重な資源として生まれ変わります。この記事を参考に、あなたのガラケーに合った方法を選んで、適切に処分しましょう。

