自動車のタイヤは、消耗品であるため、定期的な交換が必要です。しかし、「どこに持ち込めば1番安く処分できる?」「ホイールが付いたままでも大丈夫?」と疑問に思っている方は多いのではないのでしょうか。
廃タイヤは自治体の粗大ゴミや一般ゴミとして捨てることができないため、適切なルートで処分する必要があります。
この記事では、廃タイヤの処分方法6つと、ホイールの有無やタイヤの状態による費用の違いを解説します。また、大量に処分したいときの注意点や、タイヤを処分するタイミングについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
廃タイヤの処分方法6選
廃タイヤを処分するには、主に6つの方法があります。専門業者に引き取りを依頼するのが基本ですが、状態がよい場合は個人間で売却・譲渡する選択肢もあります。
| 処分方法 | 費用の目安(1本あたり) | 手間 | おすすめな人 |
| タイヤ専門業者に持ち込み | 250円〜800円 | △ | 費用を最安に抑えたい |
| カー用品店に依頼 | 300円〜1,500円 | ○ | タイヤ交換と同時に処分したい |
| ガソリンスタンドに依頼 | 300円〜1,000円 | ○ | 手軽に処分したい |
| 自治体の指定業者に依頼 | 要確認(自治体による) | △ | 廃棄ルールを厳守したい |
| 不用品回収業者に依頼 | 500円〜1,500円 | ○ | 他の不用品とまとめて処分したい |
| フリマアプリ・ネットオークションで売却 | 0円(収益あり) | × | 状態がよい |
※手間:○=手間ゼロ・△=やや手間がかかる・×=手間がかかる
方法1:タイヤ専門業者に持ち込む
廃タイヤの処分を専門に行うタイヤ販売店や自動車整備工場へ自分で持ち込むことは、最も費用を抑えやすく、かつ確実な処分方法の一つです。
タイヤ専門業者での処分料金は、タイヤのサイズやホイールの有無によって細かく定められています。例えば、「17インチ以下のタイヤのみ」と「18インチ以上のアルミホイールつきタイヤ」のように分類され、費用相場は1本あたり250円から800円程度です。
専門業者に持ち込む際の流れは以下のとおりです。
- 電話などで業者に連絡し、処分したいタイヤの本数、サイズ、ホイールの有無を伝えて料金を確認する。
- 持ち込み可能な日時を確認し、予約する。
- 予約した日時に、廃タイヤを業者の店舗や工場まで車で運搬し、持ち込む。
- 受付で最終確認と料金の支払いを行う。
この方法は処分費用が安い反面、最大のデメリットは「運搬の手間」です。自家用車にタイヤを積み込み、店舗まで運ぶ労力がかかります。
カタニャン
| メリット | デメリット |
| 処分費用が安価である | 自分で運搬する手間と労力がかかる |
| 確実なリサイクルルートを持つ | 持ち込み可能な日時や場所が限定される |
方法2:カー用品店に依頼する
新しいタイヤへの交換を行う際に、古い廃タイヤの引き取りサービスを同時に利用することは、手間を最小限に抑えられる最も便利な方法です。
オートバックスやイエローハットといった大手カー用品店は、全国に店舗があり、専門知識を持つスタッフが対応してくれるため、安心して依頼できます。
引き取り料金は、新しいタイヤの購入や交換作業とセットで依頼する場合と、持ち込みのみの場合で料金体系が異なります。費用相場は1本あたり300円から1,500円程度と、専門業者よりやや高めになる傾向があります。
カー用品店に依頼する際の流れは以下のとおりです。
- 新しいタイヤを購入・交換作業を予約する際に、古いタイヤの引き取りサービスを希望することを伝える。
- タイヤ交換作業が完了すると、同時に廃タイヤの処分も完了する。
- 作業後に処分費用を含めた料金を支払う。
この方法は、運搬や手続きの手間が一切かからない点が最大の魅力です。
カタニャン
| メリット | デメリット |
| 運搬・手続きの手間が一切かからない | 処分費用が専門業者より割高になる傾向がある |
| タイヤ交換と同時に全て完了する | 新しいタイヤの購入が条件となる場合がある |
方法3:ガソリンスタンドに依頼する
ガソリンスタンドで廃タイヤの処分を依頼することもできます。特に少量(1〜4本程度)のタイヤを、給油や洗車のついでに手軽に処分したい場合に適しています。
ガソリンスタンドでの引き取りは、店舗が提携している専門業者への中継業務となるため、料金は専門業者と同程度か、やや上乗せされる程度です。費用相場は1本あたり300円から1,000円程度です。
ガソリンスタンドに依頼する際の流れは以下のとおりです。
- 給油や洗車で立ち寄る前に、事前に電話で廃タイヤの引き取りが可能か確認する。
- サービス実施店舗であれば、指定の場所にタイヤを持ち込む。
- スタッフに引き渡し、料金を支払って処分完了。
この方法は、店舗数が多く、利用しやすいという利便性が魅力です。しかし、全てのガソリンスタンドが引き取りに対応しているわけではなく、特にセルフ式の店舗では断られる可能性が高いため、事前の確認は必須です。
| メリット | デメリット |
| 生活圏に多く、持ち込みが手軽 | 店舗によって引き取りサービスを行っていない場合がある |
| 少量(1〜4本程度)の処分に便利 | 料金が専門業者より若干高くなる場合がある |
方法4:自治体の指定業者に依頼する
廃タイヤは「産業廃棄物」であり、自治体の粗大ゴミとしては回収できませんが、自治体が窓口となって、適切な許可を持つ業者(一般廃棄物処理業者)を紹介してくれる場合があります。このルートを利用することで、廃棄ルールを厳守し、確実に適正処分できます。
費用は自治体が定める料金体系に基づきますが、一般的には重量制やサイズ制が適用されます。費用相場は自治体によって大きく異なり、事前に確認が必要です。
自治体の指定業者に依頼する際の流れは以下のとおりです。
- お住まいの自治体の環境部門や清掃課に連絡し、「指定業者」を紹介してもらう。
- 紹介された指定業者に直接連絡し、料金、引き取り(または持ち込み)日時を調整する。
- 指定された方法でタイヤを引き渡す。
この方法の最大のメリットは、公的なルートを通すため、適正に処分してもらえる点です。
ただし、手続きが二段階になり、業者への連絡や日程調整をすべて自分で行う必要があるため、手間はかかります。
| メリット | デメリット |
| 公的なルートのため、適正処分が保証され安心 | 処分費用が自治体や業者によって大きく異なる |
| 不法投棄など、後々のトラブルの心配がない | 手続きが二段階になり、手間がかかる |
方法5:不用品回収業者に依頼する
「タイヤが重くて運べない」「自宅の駐車場に放置している他の不用品もまとめて処分したい」という場合に最適なのが、不用品回収業者に依頼する方法です。運び出しから運搬、処分まで全てを任せられるため、依頼者の労力はゼロで済みます。
料金は単体での依頼か、他の不用品とのセットかによって大きく異なります。タイヤ単体の場合、1本あたり500円から1,500円程度が相場ですが、出張費が別途加算されるため、総額では他の方法より高くなる場合が多いです。
カタニャン
不用品回収業者に依頼する際の流れは以下のとおりです。
- 業者に電話やウェブで見積もりを依頼し、タイヤの本数とホイールの有無、その他の不用品を伝える。
- 提示された料金とサービス内容に納得できたら、回収日時を決定する。
- 回収日当日、業者が自宅まで来て運び出し、処分完了。
中には不当に高額な料金を請求したり、不法投棄を行ったりする悪質な業者がいるため、必ず「産業廃棄物収集運搬業許可」を持つ、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
| メリット | デメリット |
| 運び出しの手間が一切かからない | 処分費用が最も高くなる傾向がある |
| 即日対応など、急な処分に対応できる | 悪質業者による不当な高額請求のリスクがある |
方法6:フリマアプリ・ネットオークションで売却する
溝が十分に残っているタイヤや、特にアルミホイールつきのセット品は、リサイクルではなく、フリマアプリやネットオークションに出品することで、収益を得られる可能性があります。
売却価格は、タイヤのブランド、状態(溝の深さ)、製造年、そしてホイールの人気度によって大きく変動します。出品の手間や送料を差し引いても、利益が出る可能性があるため、状態がよいタイヤであれば検討する価値があります。
フリマアプリなどで売却する際の流れは以下のとおりです。
- タイヤの溝、製造年、全体像がわかる写真を複数枚撮影する。
- 送料込みの価格を設定し、詳細情報(メーカー、サイズ、状態)を記載して出品する。
- 購入者が決定したら、タイヤを梱包し、大型商品対応の配送サービスを利用して発送する。
この方法は収益化できる点が最大のメリットですが、梱包と発送の手間、そして送料が高額になるという難点があります。また、買い手が見つからなければ処分完了とならないため、時間がかかるリスクも伴います。
| メリット | デメリット |
| 処分費用が無料になり、収益化できる | 梱包と発送の手間が非常にかかる |
| 自分で価格を設定できる | タイヤの送料が高額になり、価格設定が難しい |
ホイールの有無やタイヤの状態による費用の違い
廃タイヤの処分費用は、ホイールの有無とタイヤの状態に大きく左右されます。
ホイールの有無による違い
- スチールホイールつき
タイヤとホイールの「脱着・分別費用」として、追加で数百円が加算されるのが一般的です。 - アルミホイールつき
アルミは資源価値が高いため、脱着費用が相殺される、または費用が安くなる場合があります。アルミホイールつきのまま持ち込むのが、費用面でお得になる可能性があります。
特殊なタイヤの場合
トラックや農業用などの特殊なタイヤの場合は、処分費用が高く設定されていたり、引き取りを断られたりする場合があります。事前にサイズと種類を正確に伝えましょう。
泥や油で極端に汚れている場合も、追加費用が発生したり、引き取りを拒否されたりするリスクがあるため、可能な範囲で汚れを落としておくことが望ましいです。
大量のタイヤを処分したいときの注意点
5本以上など、大量のタイヤを一度に処分したい場合は、カー用品店やガソリンスタンドでは受けつけてもらえないことがあります。これらの店舗は通常、交換時に発生する少量の廃タイヤを処分する体制しか整っていないためです。
そのため、大量処分を希望する場合は、タイヤ専門業者や自動車整備工場に依頼するのが確実です。専門業者であれば、産業廃棄物として適切に処理するルートを持っており、法律に則った方法で安全に廃棄してもらえます。
カタニャン
一部の業者では、引き取りや出張回収に対応しているところもあります。運搬が難しい場合は、事前に相談してみるとよいでしょう。
「大量のタイヤを格安で引き取ります」などと宣伝する無許可の不用品回収業者には、絶対に依頼しないでください。こうした業者の中には、不法投棄や不適切な処理を行うケースがあり、依頼者が不法投棄の共犯として罰せられる可能性もあります。
タイヤを処分するタイミング
タイヤを処分するタイミングは、主に「法律上の使用限界」と「安全上の問題」から判断されます。
法律上の使用限界
タイヤの溝が1.6mm未満になるとタイヤ側面のスリップサインが露出し、この状態での公道走行は法律で禁止されています。
スリップサインが出たタイヤは、排水性が極端に低下し、雨天時のハイドロプレーニング現象やスリップ事故の原因となるため、速やかに交換しなければなりません。
安全性を考慮した寿命
溝が残っていても、タイヤはゴム製品であるため、時間の経過とともに劣化します。以下のような場合は、タイヤの交換が必要です。
- ゴムの硬化
製造から4〜5年を経過すると、ゴムが硬化し始め、本来のグリップ力やクッション性が失われます。 - ひび割れ
タイヤ側面に細かいひび割れ(クラック)が見られる場合は、ゴムの劣化が進行しているサインです。そのまま使用し続けると、最悪の場合、走行中にタイヤが破裂する危険があるため、すぐに交換を検討するタイミングです。
カタニャン
廃タイヤの処分に関するよくある質問
ここでは、タイヤの処分についてよくいただく質問を紹介します。処分の際の参考にしてください。
処分に費用はかかりますか?
はい、基本的に費用がかかります。廃タイヤは「産業廃棄物」であり、リサイクル(燃料化や加工)にはコストがかかるため、無料で回収されることはほとんどありません。
- 費用の内訳
処分費用(リサイクル費用)+運搬費用(人件費・車両費) - 費用を抑える方法
専門業者に自分で持ち込む(運搬費を節約)か、フリマアプリで売却する(収益化)のが最良です。
ホイールつきのタイヤでも回収してもらえますか?
はい、ほとんどの場合で回収してもらえます。
ただし、ホイールが付いている場合は、タイヤとホイールを分解する「脱着・分別作業」の手間が発生するため、その分の費用が上乗せされます。アルミホイールの場合は、資源価値があるため、その分が費用から差し引かれる可能性があります。
ルールを守って廃タイヤを安全に処分しよう
廃タイヤの処分は、ルールと手順さえ守れば決して難しいものではありません。
最も重要なのは、「廃タイヤは自治体のゴミではない」という原則を理解し、不法投棄のリスクを避けることです。 適切なルートを経由することで、廃タイヤはセメントの代替燃料などとして約90%がリサイクルされ、環境保全に繋がります。
本記事で解説した安全な処分ルートを選び、適切な手続きを行うことが、法律の遵守と、環境への配慮に繋がります。
自宅で眠っている古いタイヤを安全に処分し、すっきりとした空間を手に入れましょう。

