仏壇処分の方法と費用を徹底解説!閉眼供養から自治体回収まで

仏壇処分の方法と費用を徹底解説!閉眼供養から自治体回収まで

長年ご先祖様をお祀りしてきた仏壇を手放すのは、誰にとっても簡単な決断ではありません。 「処分してしまって本当にいいのかな」「どんな手順を踏めば失礼にならないのだろう…」と悩んでしまいますよね。

そうした迷いや不安を解消するためには、仏壇の処分に関する正しい知識を持つことが大切です。 仏壇は、ご先祖様の魂が宿ると考えられる神聖なもの。処分の際には「閉眼供養」と呼ばれる儀式を行い、感謝の気持ちを込めて丁寧にお見送りすることが大切です。

この記事では、処分前に必須の儀式「閉眼供養」と、仏壇の処分方法5つ解説しますまた、処分前に確認しておきたいことやよくある質問も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

処分前に必須の儀式「閉眼供養」

仏壇処分で最も重要かつ最初に行うべき儀式が「閉眼供養」です。 このステップを飛ばしてしまうと、故人やご先祖様に対し失礼にあたると考えられているため、必ず確認しましょう。

閉眼供養(魂抜き)とは?

仏壇を新しく購入し、ご本尊や位牌を安置した際に行う儀式を「開眼供養(かいげんくよう)」または「魂入れ」と呼びます。 これは、仏壇という「木の箱」に魂を込めることで、礼拝の対象とする大切な儀式です。

処分する仏壇がこの開眼供養を済ませている場合、処分前に必ず「閉眼供養(へいがんくよう)」「魂抜き」または「お性根抜き」と呼ばれる儀式を行う必要があります。 閉眼供養の役割は、仏壇に宿っているご先祖様の魂を抜き、天へと還す儀式です。 

この儀式を行うことで、仏壇は単なる「木の箱」に戻り、これにより安心して処分手続きを進めることができるようになります。 

注意

もし閉眼供養を行わずに処分してしまうと、故人の魂ごと捨ててしまうことになりかねないため、必ずこの手順を踏む必要があります。

閉眼供養は、菩提寺や旦那寺に直接依頼するのが一般的で、お寺へのお礼は「御布施(おふせ)」という形でお渡しします。 

金額は寺院や地域、おつき合いの深さによって異なりますが、1万~5万円程度が相場とされています。 この他、お車代(5千円程度)が必要になる場合もあります。

宗派による違い

仏壇の処分や供養に関する考え方は、宗派によって大きく異なります。 ほとんどの宗派が閉眼供養を推奨する中で、例外となるのが浄土真宗です。 

浄土真宗では、人は亡くなった後すぐに仏様になるという「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」の教えに基づき、仏壇や位牌に故人の魂が宿るという考えがありません。 

そのため、仏壇を処分する際に閉眼供養は行わず、代わりに「遷座法要(せんざほうよう)」(または遷仏法要)と呼ばれる儀式を執り行います。 これは、ご本尊の鎮座している場所を移すという意味合いを持つ法要です。

注意

それぞれの宗派の教理にあった適切な方法で仏壇を送り出す必要があるため、どの宗派であっても、処分前に必ず菩提寺に相談することが大切です。

 

仏壇処分の一般的な流れ

閉眼供養と並行して、仏壇処分の一般的な流れを把握しておきましょう。具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 魂入れ(開眼供養)の有無を確認する
    処分したい仏壇に、過去に「魂入れ」の儀式が行われているかを確認します。
  2. 菩提寺に相談・連絡する
    閉眼供養の必要性や、仏壇の処分方法について菩提寺に相談します。宗派が不明な場合や菩提寺がない場合は、専門業者などにも相談可能です。
  3. 閉眼供養(魂抜き)を執り行う
    必要な場合はご寺院を招き、閉眼供養を執り行います。位牌や仏具も合わせて供養してもらいましょう。
  4. 処分方法を選択し実行する
    供養を終えて「木の箱」となった仏壇を、次章で解説するいずれかの方法(仏壇店、自治体など)で処分します。

仏壇の処分方法5つ

閉眼供養を終えた仏壇の処分するには、以下の5つの方法があります。 ご自身の状況や重視するポイントに合わせて選びましょう。

処分方法 費用の目安 手間 おすすめな人
仏壇・仏具店に依頼 2万~8万円 買い替えを検討している人
菩提寺・旦那寺に依頼 1万~10万円(お布施) 安心感を最優先したい人
自治体の粗大ゴミ 500円~3,000円 費用を抑えたい人
自治体のゴミ処理施設 数百円~1,000円 自分で運搬できる人
その他の専門業者に依頼 2万~7万円 運び出しからすべて任せたい人

※手間:○=手間ゼロ・△=やや手間がかかる・×=手間がかかる

方法1:仏壇・仏具店に依頼する

仏壇・仏具店の仏壇の引き取りサービスを利用する方法です。

仏壇の取り扱いのプロであるため、処分の段取りや料金体系が明確で、安心して依頼できます。 宗派を問わず引き取りを依頼できることがほとんど、閉眼供養の手配を代行をしてくれる場合もあります。

ただし、自治体での処分と比較して費用が高くなります。費用相場は、仏壇のサイズや運搬距離によって変動しますが、20,000円~80,000円程度となります。

カタニャン

店舗によっては仏壇の購入や買い替えが引き取りの条件となる場合もあるので、事前に確認しよう!

メリット デメリット
仏壇の扱いを熟知したプロが対応 自治体処分より費用が高い傾向
買い替えで処分費用が割引・無料に 買い替えが条件となる店舗がある

方法2:菩提寺・旦那寺に依頼する

菩提寺・旦那寺に依頼する方法は、最も伝統的で、精神的な安心感を得られる処分方法です。 お寺が引き取り、お焚き上げなどの供養を兼ねた処分を行ってくれます。

閉眼供養から引き取りまでを一貫して依頼できるため、処分に対する不安を解消し、ご先祖様に対し最大限の礼を尽くすことができます。また、宗派の教えに基づいた適切な方法で処分できる点もメリットです。

注意

ただし、近年は、環境や防災の観点から、お焚き上げや仏壇の引き取りを実施していない寺院が増えており、お断りされる場合も多いです。

また、費用が御布施という形で渡されるため、金額の明確な決まりがなく、事前に確認しにくい場合があります。閉眼供養の費用を含む場合の相場は、10,000円~100,000円が目安となります。

メリット デメリット
閉眼供養と処分を一貫して依頼可能 引き取り・お焚き上げをしていない寺院がある
宗教的な安心感が最も高い 費用(お布施)が事前に確認しにくい

方法3:自治体の粗大ゴミに出す

閉眼供養を済ませれば、仏壇は自治体の粗大ゴミに出すことが可能です。 これは、処分費用を最も抑えられる方法です。 

自治体の粗大ゴミとして仏壇を処分する手順

  1. 閉眼供養(魂抜き)を行う
    仏壇を処分する前に、菩提寺や寺院に依頼して閉眼供養を済ませます。
  2. 自治体のルールを確認する
    お住まいの自治体のホームページや窓口で、仏壇が「粗大ゴミ」として出せるか、サイズ制限や出し方のルールを確認します。
  3. 収集の申し込みを行う
    自治体の粗大ゴミ受付センター(電話またはWeb)で収集日を予約します。仏壇の大きさや数を伝え、収集日時を確認しましょう。
  4. 粗大ゴミ処理券(シール)を購入する
    コンビニやスーパー、自治体指定の販売所などで処理券を購入します。料金は仏壇の大きさや地域によって異なります。
  5. 仏壇に処理券を貼りつける
    購入した処理券に名前や受付番号を記入し、仏壇の見やすい場所に貼りつけます。
  6. 指定の回収場所へ仏壇を運び出す
    収集日当日の朝、自治体指定の場所(自宅前・集積所など)へ仏壇を運び出します。

費用の相場は、仏壇のサイズによって異なりますが、500円~3,000円円程度と非常に安価です。また、自治体が回収するため、不法投棄などの心配がなく適切に処分してもらえる点も安心です。

カタニャン

仏壇を指定の集積所まで運び出さないといけないので、大きな仏壇は運搬が大変かも…。 自分で運び出せるかどうか検討してから依頼しよう!

メリット デメリット
費用が圧倒的に安い 閉眼供養の手配は自己責任
自治体が回収するため安心 指定場所への運搬が大変

方法4:自治体のゴミ処理施設に持ち込む

粗大ゴミとして回収してもらうのではなく、自分で自治体の運営するゴミ処理施設に直接持ち込む方法もあります。 

この方法を選択する場合も、事前に閉眼供養を済ませることが必須です。 施設の持ち込みルール(受付時間、解体の必要性など)を事前に確認し予約したうえで、仏壇を自家用車などで施設まで運搬する必要があります。

費用の相場は、重さによる従量制となることが多く、数百円〜1,000円程度と最も安価に抑えられます。また、回収日を待たずに自分の都合のよい日に処分できるというメリットもあります。

カタニャン

仏壇のサイズによっては解体を求められることがあるので、事前に確認しておこう!

メリット デメリット
費用が最も安く抑えられる 閉眼供養の手配は自己責任
回収日を待たずに処分できる 運搬・持ち込みを全て自分で行う必要がある

方法5:その他の専門業者に依頼する

不用品回収業者や、遺品整理士が在籍する専門の処分業者に依頼する方法です。 仏壇以外の不用品もあわせて処分したい場合に便利です。 

この方法では、まず業者に回収を依頼し、見積もりを取ります。 業者の多くは閉眼供養に対応していないため、必要であれば事前にご自身で手配し、供養を済ませてから指定日時に自宅まで引き取りに来てもらいます。

運び出しから処分まで任せられるため、手間が最も少なく、仏壇以外の不用品の整理も一度に済ませられます。また、業者によっては、まだ利用価値のある仏壇を買い取ってもらえる場合もあります。 

費用相場は、回収品目や業者によって大きく変動しますが、2万~7万円程度が目安となります。

注意

一部の悪徳業者の場合、雑な扱いをされたり、不法投棄をされたりするリスクがあるため、口コミなどを参考に業者選びを慎重に行う必要があります。

業者を選ぶ際のポイント

  • 一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか確認する
    許可のない業者は不法投棄などのトラブルにつながる可能性があります。
  • 料金体系が明確で、見積もりに追加費用が発生しないか確認する
    「出張費」や「階段料金」など、後から請求されるケースもあるため注意が必要です。
  • 口コミや評判をチェックする
    実際の利用者の評価を確認し、信頼できる業者かどうか判断しましょう。
  • 仏壇の扱いに慣れているか確認する
    「閉眼供養を行った仏壇を丁寧に取り扱う」姿勢があるかどうかが大切です。

業者によっては供養を手配できる場合もあため、希望があれば見積もりの際に確認してみましょう。

メリット デメリット
運び出しを全て任せられるため手間がない 閉眼供養は外部で手配が必要
仏壇以外の不用品もまとめて処分可能 悪徳業者による不法投棄リスクがある

仏壇を処分する前に確認しておきたいこと

仏壇は、故人やご先祖様に関する大切なものをしまう場所であるため、遺品や貴重品が保管されている可能性が高いです。

古い位牌、遺影、仏具、掛け軸といった宗教的なものだけでなく、通帳、実印、現金、有価証券、貴金属、鍵などの貴重品が保管されていることがあります。 

注意

特に古い仏壇や大型の仏壇には、一見しただけではわからない「隠し引き出し」が設けられていることがあります。

仏壇の土台部分(下部)や、彫刻が施されている飾り部分の裏側など、普段開けない場所を念入りにチェックしてください。 収納部分をすべて引き出し、奥の壁や底板を触って、不自然な隙間や動きがないか確認しましょう。  

仏壇の処分でよくある質問

ここでは、読者の方から特に多く寄せられる質問を取り上げ、専門的な観点からわかりやすくお答えします。正しい知識を知って、安心して仏壇処分の手続きを進めましょう。

開眼供養を行っていませんが、閉眼供養は行うべきですか?

開眼供養を行っていない仏壇は、厳密には「魂が入っていない状態」と考えられます。 しかし、仏壇を処分するにあたっては、長年ご先祖様を祀ってきた敬意を示すためにも、閉眼供養(お性根抜き)を行った方が故人のためになります。 

菩提寺に相談すれば、開眼供養を行っていない場合でも儀式を執り行ってもらえます。 ただし、浄土真宗の場合は、そもそも魂が宿るという教えがないため、代わりに遷座法要を執り行います。

お寺に仏壇を引き取ってもらう際の費用はいくらですか?

お寺に仏壇の処分まで依頼する場合、費用は閉眼供養のお布施に、仏壇の「廃棄・処理費用」が加算された金額を「御布施」として包むのが一般的です。

相場としては、10,000円〜100,000円が目安とされていますが、依頼するお寺によって大きく変わります。また、御布施を特に受け取らないという寺院もあります。 

費用が気になる場合は、檀家仲間や、直接お寺に「他の檀家さんはどの程度包んでいるか」を遠回しに尋ねてみるのが無難です。

仏壇をゴミとして処分しても問題はありませんか?

閉眼供養を終えた仏壇は、宗教的には「単なる木の箱」に戻ったと考えられます。 そのため、ゴミとして処分すること自体は問題ありません。 

最も大切なのは、魂を抜くための閉眼供養という手順を適切に踏むことです。

ご先祖様への感謝を込めて、適切な手順で処分しよう

仏壇処分は、ご先祖様への感謝と敬意をもって行うべき大切なプロセスです。

最も重要なステップは、閉眼供養(浄土真宗の場合は遷座法要)を執り行い、仏壇に宿る魂を天へと還すことです。 

この儀式を終えたうえで、費用を重視するなら自治体処分、安心感と手間を重視するなら仏壇店や専門業者、そして精神的な納得感を最優先するなら菩提寺に依頼するなど、ご自身の状況に合った処分方法を選択しましょう。

この記事で解説した手順と注意点を参考に、後悔のないよう、心穏やかに仏壇の処分をしてださい。