スマートフォンやタブレットの充電に欠かせないモバイルバッテリーですが、「古くなったものをどうやって捨てればいいのかわからない」と悩んでいませんか?
実は、モバイルバッテリーを家庭の一般ゴミ(可燃ゴミ・不燃ゴミ)として捨てるのは非常に危険です。内部に使われているリチウムイオン電池は、衝撃や圧力が加わることで発火・爆発するリスクがあります。
この記事では、モバイルバッテリーの6つの処分方法と、安全に処分するための準備について解説します。また、モバイルバッテリーを処分するタイミングや、よくある質問も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
モバイルバッテリーの処分方法6選
ここでは、モバイルバッテリーを処分するための6つの方法について、それぞれのメリット・デメリットや手順を詳しく解説します。ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
| 処分方法 | 費用の目安 | 手間 | おすすめな人 |
| 自治体の小型家電回収ボックス | 0円 | ○ | 手軽に無料で処分したい人 |
| JBRC協力店 | 0円 | ○ | 買い物のついでに処分したい人 |
| 製造メーカー | 0円(送料がかかる場合あり) | △ | 安心感を重視する人 |
| リサイクルショップ | 0円(収益あり) | △ | 状態の良いバッテリーを持っている人 |
| フリマアプリ | 0円(収益あり) | × | 少しでも高く売りたい人 |
| 不用品回収業者 | 数千円~ | ○ | 他の不用品とまとめて処分したい人 |
※手間:○=手間ゼロ・△=やや手間がかかる・×=手間がかかる
方法1:自治体の小型家電回収ボックスを利用する
最も手軽で推奨される方法の一つが、自治体が設置している「小型家電回収ボックス」を利用することです。
「小型家電リサイクル法」に基づき、自治体では貴重な資源を再利用するため、公共施設やスーパーマーケットなどに専用の回収ボックスを設けています。ここに使用済みのモバイルバッテリーを投入するだけで、法令に沿って適正に処理・リサイクルされるため、環境にも優しく安心できる方法です。
カタニャン
| メリット | デメリット |
| ・無料で、事前連絡なども不要 ・手軽に処分できる |
・回収ボックスの設置場所が限られる ・場所を事前に確認する必要がある |
方法2:JBRC協力店で回収してもらう
JBRC協力店でバッテリーを回収してもらう方法も便利です。JBRC協力店は、小型充電式電池のリサイクルを推進している団体です。全国の家電量販店やホームセンター、スーパーなどが「リサイクル協力店」として登録されており、使用済みバッテリーの回収拠点となっています。
店内に黄色の回収ボックスが設置されており、買い物のついでに手軽に処分できます。ただし、お店によっては、店員さんに直接渡す方法をとっているところもあります。
カタニャン
| メリット | デメリット |
| ・全国に協力店が多い ・無料で気軽に持ち込める |
・店舗によっては直接店員に手渡す必要がある |
方法3:製造メーカーに回収を依頼する
お使いのモバイルバッテリーの製造メーカーが、自社製品の回収サービスを行っている場合があります。これは製品を製造した企業の責任として、使用済み製品を適正にリサイクルするための取り組みです。
特に国内の有名メーカーなどで見られる対応で、製品のことを最もよく知るメーカーに直接処理を任せられるため、安心感が非常に高い方法と言えるでしょう。
公式サイトのサポートページや、製品の取扱説明書に回収方法に関する案内が記載されていることが多いので、確認してみましょう。
| メリット | デメリット |
| ・メーカー対応のため安心感が高い | ・対象が自社製品に限られる場合がある ・郵送など手間がかかることがある |
方法4:リサイクルショップで買い取ってもらう
まだ問題なく使用できる状態の良いモバイルバッテリーであれば、捨てるのではなくリサイクルショップで売却するという選択肢もあります。
製造から1~2年以内など比較的新しいモデルや、人気メーカーの製品は、査定で値段が付く可能性があります。
ただし、バッテリーは消耗品であるため、全ての製品が買い取ってもらえるわけではない点を理解しておく必要があります。
カタニャン
| メリット | デメリット |
| ・不要なものがお金に変わる可能性がある | ・状態が悪いと買い取ってもらえない ・必ずしも値段が付くとは限らない |
方法5:フリマアプリ・ネットオークションで売却する
リサイクルショップ同様、まだ使えるモバイルバッテリーは、メルカリやヤフオク!といったフリマアプリやネットオークションで売却する方法もあります。
自分で価格を設定できるため、リサイクルショップの査定額に納得できない場合でも、より高い価格で売れる可能性があります。
ただし、商品の撮影や説明文の作成、購入者とのコミュニケーション、梱包・発送といった全ての作業を自分で行う必要があるため手間がかかるのがデメリットです。
相談者
カタニャン
特にリチウムイオン電池は航空輸送が制限されるなど、発送時のルールが厳しいため、事前に配送業者の規約をしっかり確認しておきましょう。
| メリット | デメリット |
| ・リサイクルショップより高値で売れる可能性がある ・自分で価格を設定できる |
・出品や梱包、発送の手間がかかる ・個人間取引のトラブルリスクがある ・発送方法に注意が必要 |
方法6:不用品回収業者に依頼する
引越しや大掃除、断捨離などで、モバイルバッテリー以外にも処分したい家電や家具がたくさんある場合には、不用品回収業者にまとめて依頼するのが便利です。
電話やウェブサイトから申し込むだけで、指定の日時に自宅まで回収に来てくれるため、手間が全くかかりません。ただし、便利な分、費用は高めになります。
業者を選ぶ際は、料金体系が明確であることはもちろん、自治体から「一般廃棄物収集運搬業」の許可を得ている正規の業者であることを必ず確認しましょう。
カタニャン
| メリット | デメリット |
| ・自宅まで回収に来てくれる ・他の不用品とまとめて処分できる |
・費用がかかる ・単品での依頼は割高になる可能性がある |
処分前にチェック!安全に処分するための2つの準備
どの方法で処分するにしても、安全のために必ず行っていただきたい準備が2つあります。これを怠ると、回収過程で発火事故を起こす危険性があるため、必ず実行してください。
準備1:発火を防ぐための「絶縁処理」
モバイルバッテリーは、USBポートなどの金属端子部分が露出しています。この部分が、運搬中に他の金属製品と接触するとショートし、発火の原因となります。それを防ぐのが「絶縁処理」です。
手順は非常に簡単です。ビニールテープやセロハンテープを用意し、金属が露出している端子部分をすべてテープで覆い、塞いでください。
たったこれだけの作業で、ショートのリスクを大幅に減らすことができます。回収ボックスに入れる前や、お店に持ち込む前に、必ずこの処理を行いましょう。
準備2:膨張・発熱したバッテリーの危険なサインと対処法
もし、お持ちのモバイルバッテリーがパンパンに膨らんでいたり、異常なほど熱くなっていたりする場合は、通常の方法で処分してはいけません。
バッテリーの膨張は、内部の劣化によってガスが発生している非常に危険なサインです。この状態で衝撃を加えると、爆発的に燃え上がる可能性があります。絶対に、自分で分解したり、穴を開けたりするようなことはしないでください。
バッテリーが膨張・発熱したときは、以下の手順で対処しましょう。
- 使用をやめ、金属製や陶器の容器に入れる
- 可燃物のない安全な場所で保管する
- 回収ボックスには入れない
- メーカー・販売店・自治体の清掃担当に連絡して相談する
- 専門家の指示に従って安全に処理する
モバイルバッテリーを処分するタイミング
モバイルバッテリーは、以下のような劣化のサインが見られたら、安全のために使用を中止し、処分を検討しましょう。
- 本体が丸く膨らんできた
内部でガスが発生している危険な兆候です。直ちに使用をやめてください。 - 充電中や使用中に、以前より明らかに熱くなる
触れないほど熱くなる場合は、内部で異常が起きている可能性があります。 - 満充電になるまでの時間が極端に長くなった
バッテリーの蓄電能力が著しく低下しています。 - 満充電しても、すぐに電池がなくなってしまう
充電がほとんどできないなど、性能が落ちている証拠です。 - 外装にひび割れや破損、液漏れがある
物理的なダメージは、内部のショートを引き起こす原因となります。
これらのサインは、バッテリーが寿命を迎えている証拠です。無理に使い続けると事故につながる恐れがあるため、早めに新しいものへ交換し、古いものは正しく処分しましょう。
モバイルバッテリー処分に関するよくある質問
モバイルバッテリーの処分に関してユーザーからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
処分に費用はかかりますか?
ほとんどの場合は無料で処分できます。自治体の回収ボックスやJBRC協力店への持ち込みは一切費用がかかりません。ただし、不用品回収業者に依頼する場合のみ、回収費用が発生します。
膨張していても回収してもらえますか?
膨張・破損・液漏れしているバッテリーは、発火のリスクが特に高いため、多くの回収ボックスや店舗では回収対象外となっています。このような危険な状態のバッテリーは、メーカーや自治体の担当部署に直接問い合わせて、指示を仰いでください。
充電ケーブルや付属品も一緒に処分できますか?
モバイルバッテリー本体と、充電ケーブルやACアダプターなどの付属品は、別々に処分する必要があります。
ケーブル類は、自治体によって「不燃ゴミ」や「小型家電」など分別が異なります。お住まいの地域のルールに従って処分してください。回収ボックスにはバッテリー本体のみを入れましょう。
メーカー不明の製品でも大丈夫ですか?
自治体の回収ボックスやJBRC協力店では、基本的にメーカーを問わず回収の対象となります。製品にリサイクルマーク(スリーアローのリサイクルシンボル)が付いていれば、問題なくリサイクルしてもらえます。
ルールを守ってモバイルバッテリーを安全に処分しよう
モバイルバッテリーは私たちの生活に欠かせない便利なアイテムですが、その処分方法を誤ると大きな事故につながる危険性をはらんでいます。
最も重要なのは、発火のリスクがあるため、決して一般ゴミとして捨ててはいけないという点です。
処分する際は、お近くの自治体の回収ボックスや、家電量販店などのJBRC協力店を活用しましょう。もしバッテリーが膨張しているなど異常が見られる場合は、無理に自分で対処せず、メーカーや自治体といった専門機関に相談することが重要です。
思わぬ火災事故を防ぐためにも、この記事で紹介したルールを守って、安全に正しく処分することを心がけましょう。

